すかーとのすそのセンダングサ

画家すうひゃん。の日々感じたことの絵日記

実在する子供たちのポートレイト ”赤いマントの子”解説

 

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シリーズ2 "リトルメロデイ" 実在する子供達のポートレイト

子供達は多くの経験や知識の蓄積も少なく、瞬間知り得た情報をたよりに行動を選択して行く。

彼らはたくさんの情報や蓄積等無くても、100人いれば100人違う自己を持って生きている。

 

子供を育てながら、いつしか以前のような内側への問答は少なくなり、今この瞬間に見て聞い

て感じているもの、外側への関心事を作品にしてみようと思うようになった。

作品のテーマや作風は時に、今この瞬間の自分のリアリテイとは違った過去の模倣という

危険もはらむ。模倣ではなく、今見ているものをただ描くといいう行為をしてみようと

思った。

今現在、私自身が目を向け感心を寄せる対象、それは子供たちである。

一見、作家として活動するにあたり、ネガテイブな要素としてありがちな、母親という条件か

らでしか知り得ない世界、社会事情から世界を考察し、また深く潜ることを実践したいと思って
いる。

 

モデルの子供は私の長男、次男、友人の子供といった具合に身近で普段から接している子供達、

感覚とはいえリアリテイを重視し、実際に見て感じる事が出来る対象を撮影し描いている。

反して、背景には抽象的な要素を含ませ、場所や説明は限定しないように描いている。背景は

私の内面の感心事、世界情勢などの示唆的な要素も込めている。

 

子供達は日常からあらゆる問題にさらされているが、例えば”赤いマントの子”のように

アニメのキャラクターなどの衣服などは好んで着たがる。しかしながら親によってはあんなもの

着せられないという親もいれば進んで着せる親もいる。いずれにせよ子供がどうしたいかとい

うよりは幼い頃は親や社会の意思により選択が決定され、

成長するにつれむしろ自己が薄れて行くという段階を一度踏み,また自分自身で構築していくのだろう。

 

さらに"赤いマントの子"を鑑賞した大人は"キャラクターは発達上良くない"というものも

いれば"なんてかわいいのだろう!"というものもいるだろう。その絵の前に立った時に抱いた

感情によって鑑賞者はおのれがどんな潜在意識を持っているのかを確認する。
 
"子供"というありふれた題材だからこそそれに対する基準をそれぞれの大人が持っており、

反するのか値するのかなどの価値観は明確に分かれるだろう。

私たち親は、本来子供たちが生まれながらに持っているアイデンティティとは全く別のものを

無意識に与え続けているという視点が必要なのではないか。
 
しかしながら私が提案するのは気づきであり、批判、教え、導きなどではない。絵を通し、

それぞれが、おのおのの問題意識にフォーカスする手助けになれば幸いです。